nekolog

ITベンチャーで広報の立ち上げをやっています。当ブログに記載されている内容は個人の考えであり、所属先の公式な見解を表すものではありません。

1週間に3回も「PR」「伝える」系トークイベントへ行ったら、長文書くくらい広報やPRが好きになった話

今月頭、下北沢の本屋B&Bにて「PR」「伝える」のテーマで1週間のうち3回もイベントがあったので、3回とも行ってきちゃいました。申し込んだ時は「重なるなー、週3下北沢かー遠いわー(職場から逆方向)」と思ってましたが、結果的に気づきが多くてすごく良かったので、感想をまとめて記録しておきます。

下北沢に行くのは多分1年振りくらい。家からそこそこ遠く、用がないとほとんど行きません。南口がなくなってることも知らなかったし、本屋B&Bが移転していたことも知りませんでした。そしてイベントの行き帰りで散々迷子に、、初回は行きも帰りも迷う始末。下北沢こわい。さすがに3回目は覚えたけど。

 

4/3 伝わらない時代の伝え方

堀潤×朽木誠一郎「『伝わらない時代』の伝え方 – なぜ、こんなにも伝わらないのか」『堀潤の伝える人になろう講座』『健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方』刊行記念 | 本屋 B&B

ネットでの発信を積極的にされていて、個人的にもすごいなと思っていた堀潤さんと朽木さんお二人のご登壇。しかも「伝える」がテーマ。すごく興味があるし、仕事にも役立ちそう、とややミーハー心で参加したところ、仕事のみならず自分の軸へも大きく響くほどの学びがあり、来て本当に良かったと思いました。

 

(引用のあしらいがある箇所は、イベントであった発言ではありますが、私自身の言葉で編集しています)

 

 大きな主語で発言するのではなく、小さな主語で発言する。大きな主語(「日本は」「若者は」など)では、何かを言っているようで実は何も言っていない。小さな主語の方がファクトに近づける。

人の意見は燃えやすい。主観ぽい言葉を使っていることに気づけるか、自分で問答する。

「何かを言っているようで何も言っていない」というのはなるほどと思いました。より小さな主語で事実への言及を増やすのがよいそうです。ついつい私も、自分の狭い見聞で一般化してしまいたくなるので今一度気をつけたいです。後に行われた4/9のイベントで広報PRに関する自分の見聞の範囲の狭さに気づき、それを前提としてブログの内容を考えられたのも、このフレーズが心に残ったからでした。

 

話したいことが尺の関係で短くなり、そうなると端的さが求められ事実と変わる表現にならざるを得ないメディアのジレンマ。

切り取らないように、自分の質問と相手の回答をセットで伝える。トーンを再現する、文脈で判断できるように。時に相手に要約をしてもらう

人間は間違うもの、それを見越した設計をする。心変わりは当たり前。

これも、薄々と感覚的に思っていたことだったので、やはりそうなのかと気づくことができました。切り取らないために相手に要約してもらうっていうのは、新しい発想でした。

 

そして何より刺さったのは以下です。

変革、革新を望んでも、壊すだけで息切れしてしまう例がある。まず、自分が、ただ「つくる」ことをやる。これこそ「変わる」に近いこと。自分の持ち場で発信をつくっていく。火を起こせない人は何も変えられない。自分が見たい未来は何か?

無名の会社に飛び込み、会社を変えたいと行動してきた自分と重ねて、納得感しかありませんでした。

革新や火を起こすやり方について書かれた情報は、随分簡単に手に入るようになりました。「既存を壊した」という趣旨のキャッチーなコピーが書かれたWEB記事は、座っていてもネットで拾ってこれます。でも、読むだけと、それを自分でやることとは天と地くらい差があると思います。

情報が溢れた結果、口ばっかりじゃなくてやろうよ、という風潮になりつつある気がするものの、じゃあどうやるかがわからず戸惑い、やりたくてもやれず困っている人もいるのではないかとも思います。「壊してつくる」ではなく、「ただつくる」でも、もちろん簡単ではないと思いますが、新しいことに踏み出す時に自分を鼓舞できる考え方なのではないでしょうか。

 

学びまとめ

結論として、私がやろうとしている「自分の意見を伝える」を既にされているお二方の知見をいただく会だったなと思っています。自分の発信を増やしていて今私が思っていることについての話もたくさん触れられていたので、今後の自分の活動がよりスムーズに進んでいくだろうし、スムーズな分より高いアウトプットを出していけたらいいなと思いました。

 

 

4/6 PRパーソンのキャリア会議

若尾真実×片山悠×小池亮介×菅原弘暁「PRパーソンのキャリア会議〜PR会社から成長企業に転職したらPRがもっと好きになった」 | 本屋 B&B

既にご挨拶したことがある方々、そしてお世話になっている方々が登壇されていたこのイベント。なかなか過去の話も深く伺うこともなかったので興味があったのと、自分の広報としてのキャリアステップにヒントをいただけたらと思って参加しました。

 

学び

登壇者のみなさまはPR会社から事業会社に転職した方々ばかりだったので、PR会社の頃の話が度々出ましたが、私は事業会社広報しか経験がないので、そのあたりの話全般が新鮮でした。入社してまずクリッピング業務をするとか、企画を出しまくる部署があるとか。。

事業会社広報はそんなに何人も人を置かないので、スキルも継承されにくくその人次第になるという側面があることにも気づくことができました。ある日突然任命されて、困ったとかよく聞くもんな。特にITベンチャー広報。私も例に漏れず誰かについてきちんと学んだわけではないので、自分の基礎力のなさを思い知りました(断片的に理解はしているけど体系的に語れないなという意味で)。

あと、事業会社にどっぷりだと「客観目線」が薄くなるんだろうなということ。やっぱり自分の会社以外がわからず、客観的に見る機会も少なく、上記のように知識もままならないのでどんな人に何のために発信しているのかがわからなくなってしまうのかなと。会社によっては、いろいろ事情により、世の中に伝えるという本来的なことより、目の前の上席の方を優先した発信にもなってしまうことがあるかもしれません。

その他の話には、若手IT広報のキャリアステップに何かできないかなとか、インターナル系を極めたいという自分の気持ちの発見がありました。あとは「間に挟まれてなんぼ。挟まれてないのは、貴方が機能していない」という発言があって、正直社内の挟まれがしんどいときもあるのですが、挟まれることで自分は仕事ができてるし、そここそが仕事なんだよなと気持ちが引き締まりました。

 

この会は、メモを血眼になってとるというより、フレーズひとつひとつをタイムリーにツイートしながら聴くことの方がしっくりきたのでそのようにしました。どちらかというと勉強というより、共感したり感情に刺さる内容が多かったからかな。。その時のツイート内容がモーメントにまとめられていますので、合わせてご覧ください。

 


4/9 いまどきのPRを語ろう

伊澤佑美×根本陽平×嶋浩一郎「悩めるPRパーソン大集合! いまどきのPRを語ろう」『PR思考 人やメディアが「伝えたくなる」新しいルール』(翔泳社)刊行記念 | 本屋 B&B

『PR思考 人やメディアが「伝えたくなる」新しいルール』(翔泳社)書籍刊行記念イベントでした。著者のうちのおひとり、伊澤さんのFacebookの告知でイベントを知り、参加しました。

イベント前に書籍も読んで、ともすればふんわりした話で終わる「伝えたくなる」のメカニズムが体系だっていることに感動し、よりこのイベントで深掘りしてお伺いできるのではと楽しみにしていました。

 

(引用のあしらいがある箇所は、イベントの発言をこちらで編集)

 

メディアに出ることは、人に伝えるのに効率的だった。そして広告換算値での評価はわかりやすさで広まった。これが「メディアリレーションだけをやる」という誤解を生んでしまった。

テレビCMは時間と枠が限られる。そしてまとめて発注する伝統的な販売方法をとっている。今や広告のバリエーションが増えた。宣伝部長と事業部長の持つ意見は違う(売れるならCMでなくても別の広告でもいいという発想。結果伝達チャネルが増える)

会の最初の方で(少し遅れて入ったので)この話が聞けただけで、来て良かったと思いました。CMや広告の知識はあまりありませんが、論は通っていてなるほどと思うことばかりでした。広報PRとは分離して(違う分野として)広告やマーケティングが発展したことで、今、どちらが上位概念だ下位概念だとか、どちらが大事でどちらが本質だとか、いろいろ定義がややこしくなっているのではと、個人的には感じています。

 

レピュテーションマネジメント。例えば、雑誌のファンイベントで、そのファンの方の前で、ゲストである自分がファンの方にとっておもしろい話をするなど。よかったら記事にもなるし、読者にとっても有益。

プレスリリースはDMでしかない。正確な情報の確認ツール。ストーリーが大事でファクトは後。

シェアは感情とともに行われる。この時代、オフラインだけで流れることはない。

そう言われればそうだ、なるほどと強く思った内容です。感情を揺さぶるストーリーが大事とされる流れが、ここ数年でまた強まっているのを感じました。テーマによっては、同じような人が取り上げられたりというのも散見されるようになっていることを考えると、そのメディアらしさというか、差別化について考慮することも大事になってきているのかもしれません。

 

メディアはコントロールできないが広告はコントロールできる。PRの人は広告以外やっていた。広告よりアンコントローラブルな世界で戦う人だったので、それが今アドバンテージになる。

これはとても励みになりました。確かにコントロールできないことに向き合っているなと。。それからすると広告は比較的、コントロールできるものなのかもしれません。

これからも、コントロールの効かない世界でコントロールに努めて胆力をつけながら、社会とのコミュニーケーションをしていきたいです。

 

学びまとめ

4/6のイベントで、自分が事業会社広報しか経験がなく基礎がしっかりないと思っていたところに、業界にて長く最先端を走っていらっしゃる方のお話を、体系的に伺えたのでありがたかったです。私は社外広報の経験が強くないので、その範囲がテーマとなっている今回のイベントでは、勉強になったとともに、自分の社外広報の知識と経験値が想像以上に不足していることを痛感しました。

また、会の最初の方で伺った広告(テレビCM)の話が特に、事情含め知らない話ばかりで、新しい世界を知れた気がします。周辺知識はまだまだ、足りていないと気付かされました。広報PRを客観的に捉えたいならば、隣接する分野を知っておいて損はないなと。

あと個人的には、冒頭にアンケートを取り、メールで質問を受け付けながら会を進めるのは、まさにPublic Relationsの体現をしているようでとてもいいなと思いました。イベントには80人くらいいたし、会場の構造上、最後部になればなるほど質問等参加しにくいので、後ろにいてもリクエストが出せるのはありがたいなと。今後、何かイベントごとをやる時に参考にしたいです。

 

3つのイベントを通しての変化と気づき

4/6、4/9のイベントではPRを探求し、4/3のイベントではそれと大きく重なる「伝える」について学ぶ場だったなと思っています。どちらにしても職責として必要で、知らないことも多かったのですが、私の今の心持ちだと、4/6と4/9は仕事で活きる話、4/3は自分の発信に活きる話、と思いました。

とにもかくにも、PRというものは概念的に処理されやすくて、そのために時に迷いやすい自分にとっていろいろなことが明確化し、腹落ちし、勇気づけられる内容でもありました。

 

自分の考えを発信したくなった

一番大きな変化でした。これまで、自分の考えを言うことは避けてきていたからです。

これまでいろいろな方に出会い、その方それぞれの正義を感じ取ってきました。各フィールドで道を切り拓いてきた方もたくさんつながってくださっています。だからこそ、安易に発言するのは怖いし、変に思われたくないし、、など、ためらう思いが強くありました。

でも、4/3のイベントで伺った、「傷つかない言論はない」という言葉に、ああそうだなあと共感し、勇気づけられました。

後述しますが、4/6のイベント、4/9のイベントも含めて他の方がPRのことを明確化しアウトプットされているのを見て、私が見てきたことやそのモヤモヤもひとつの真理として明確化しないとという危機感も高まりました。そんなタイミングで、4/3のイベントで、自分の意見を発信する時の考え方やコツを先んじていただけたのは、とても大きかったです。これを、相手の価値観に配慮する心持ちを明らかにするものとして使えれば、自分の意見を発信できるかもしれないと思わされました(それが当エントリーにつながります)。

 

PRについての小さな違和感。その明確化をしたくなった

私は事業会社広報のみ経験しているのですが、自分が辿ってきたキャリアから導かれる「広報PRとはこういうもの」という価値観につきまとう、無意識の偏りを見せつけられた気がしました。

私の感覚だと、事業会社広報は、PR会社の方よりPRという言葉に馴染みが薄いのではと感じています。なぜなら与えられるのは「広報」という名前の職種であることも多いから。あと、PRという言葉は、PR会社という事業カテゴリ(的なもの)につけられていて、PR会社にて行われていると広く世に認識されている事業の捉え方が、本来あるべきPRの概念と乖離して理解されているから、今すごく再確認の話題が出るのかなとも思っています。

 

私はこれまでの広報キャリアの大半を、事業会社内で、しかも外に出るというよりは社内調整を強みとして過ごしてきました。他の広報担当が持ってきてくれた取材や、問い合わせいただいた取材依頼を確認し、よりよく、かつ会社のメッセージに合わせた出方ができるように、出る人を決めて、内容を整理して、リスクを減らすよう考えて対応して。メディアに出る時は、答え合わせのようで毎回ドキドキします。

今の会社では、広報として自分が自慢できる組織になるための仕掛けばかり社内でつくる日々です。そのまま3年半が過ぎています。自分で必要と思って(後述)やっているとはいえ、BtoBでITで、事業特性もありメディア対応は思い出した頃に時々やるくらい。広報PR業界で、取材をとりメディアに出ることがステータスのようになっていた中で、私は広報を名乗っていいのかと悩み続け、本当にコンプレックスしかありませんでした。この時期に激励してくださった諸先輩方には感謝しかありません。

 

でも、前職の経験で、事業に関連しない露出を無理に作ることに意味を感じにくかったし、お化粧で美しく見えるのも限界がある(元が綺麗でこそ)とわかってきていたから、会社の状況として社内調整や仕組みづくりの方がやるべきこととして正しく見えて、かつ、できてないならやらなければ、という思いしかありませんでした

前職では半年だけ管理会計の部署にもいたので、そこで見たこともこの考え方に影響しているかもしれません。数字は嘘つかない、というのもここで学びました。

 

なので、最近時々聞く「広報<PR」っていう概念の序列関係?も、私にはちょっとだけ違和感があったりします。もちろん、Public Relationsステークホルダーとの良好な関係づくり、そしてコミュニケーション)は大切です。が、広報職はもっと会社の事業や経営と密接であるべきだし、そうなると決して序列は低くないはず、とも思います。このあたりはまだまだ自分の中でも定義が曖昧で、学びながら考えていきたいテーマです。

まずは、職種外の方が間違えて「PRはPromotion」であると思われないような表現から気をつけようと思っています。略称表現をなるべく避けるとか。広告記事のPR表記とか、だんだん違和感になってきました。。これってADって書くとダメなのかな、そうならないかなって思ってたりします(業界のガイドラインがあって、今は、PRって書きましょうになっていた気がする)。

 

その上で、広報やPRが好きという気持ちが強まった

前述の通り、つい最近まで広報には100%コンプレックスしかなかったので、我ながら変化に驚いています笑。これまでは、

「広報PRおもしろいしやりたいけど向いていないなあ、私の感覚おかしいのかもしれないからひっそりしていよう(100%のコンプレックス)」

でした。そして今は、

「好きだしやりたいし、私の感覚も何かしら業界の発展に貢献できるかも、もっと見てきたものをぶつけたい(20%のコンプレックス)」

というイメージです。

 

言語化にはまだまだ壁を感じており、私の知識も勇気も足りず、表現するにしても感覚的になってしまうのが悔しい日々です。最近は外部の広報・PRパーソンの方が多く広報PRを探求する活動をしていらっしゃるので、それにも度々ご一緒させていただいています。以前より刺激と学びをいただけているのが大きく、参加するごとに奮起させられ、少しずつではありますが前に進めている感覚でいます。

 

ちなみにこのブログ、この時点で既に7000字を超えています。我ながら熱意を持ってよく書いた笑。そして長くて読みにくくてすみません。。

でも、3つのイベントの学びをできるだけシェアしたかったし、自分のために整理してアウトプットしたかったし、自分の考えも含めて書くことに有意義な可能性しか感じないです。そのくらい今、広報PRについての探究心があるし、私も少なからず貢献したいし、自分の気持ちに従ってやりたいことをやっています。

上述の通り、まだまだ知識や体系化が足りないので、今後も意見交換はじめイベント、本、記事等他の方から学び、合わせてブログなども使い私の経験を伝えていきたいです。本質にどんどん近づいていけるよう努力し、業界の発展に貢献できるような動きをしていきます!

 

今後の発信について

毎回こんなに字数を書くと、発信回数が続かない気がするし読まれない気がするので苦笑、もっと短くてパーソナルな経験から得られる広報の考え方はnoteに書いていこうと思っています。いつも、文章を書くと気がついたらついつい長くなってしまうので、1テーマに絞りシンプルに、ある程度までは勢いで書く練習を兼ねて。

noteには、広報以外にも、引っ込み思案の克服や、自己肯定の試行錯誤、生活最適化についても書いていくつもりです。アカウントがある方、ぜひフォローいただければ幸いです!(と呼びかける前に記事を書かねばですね、、! 5月にはひとつ書く!)

Noriko Nakane |note

 

※ちなみにこのはてなブログには、時々こうやって「私の身体からは離れた感じのする」内容、やや一般化した内容を書いていこうと思います。次回はもう少し短く読みやすくします、、汗